特集:輝く!新潟企業家[2019年10月号]

㈲ノマタ酒店 五十嵐 竜太(柏崎支部)

日本酒を文化として愛し続けてほしい

五十嵐 竜太(柏崎支部)
㈲ノマタ酒店

「ノマタ」の歴史

 柏崎市西本町に店舗を構えるノマタ酒店の歴史は、明治元年まで遡ります。資料が残っているわけではない為、はっきりとしたことはわからなくなってしまいましたが、明治以前から柏崎の地で商売をしていた創業者一族が、明治元年に酒類の製造・販売を始めたことが、ノマタ酒店のスタートだと伝わっています。当時は酒蔵として、日本酒を作り、販売することを事業として行っていましたが、昭和初期に卸販売業へ形を変えていきました。

 よく、「ノマタとは?」と聞かれることがあります。元々の社名を「野俣酒店」と言い、野俣さんという家系が会社を経営していました。昭和48年、野俣酒店へ就職していた20代だった父の紀代年が経営を引き継ぐこととなり、「地域のお客様との関りを残すため」に1968年から現在の「ノマタ酒店」として地域と共に歩んできました。

五十嵐竜太の立場

 現在は兄の建也が社長となり、父・母・兄・兄嫁・私・嫁の五十嵐家と、パート1名という陣容で、私は直接の経営者ではありません。幼少のころから、家業で働くという考えも、酒屋に対する興味もあまりありませんでした。趣味に没頭するためにアルバイトや派遣登録で生計を立てていましたが、27歳の時、店の従業員不足もあり入社。ある意味、いいタイミングだったと今は思っています。

201910feature2.jpg 2006年に、経理事務所を経て入社していた兄が事業を承継。従業員はほぼ家族のため、定期的なミーティングを通して意思の疎通を取って経営には携わっていますが、私はより現場に近い立場です。

 私が自分の立場について考えていた時、店の課題は取引先にありました。当時、酒の卸先はほとんどが飲食店などの企業が占めており、一般のお客様との繋がりが薄くなってきていました。その中で、大型スーパーやディスカウントストアとの価格競争を強いられ、「このままではいけない。一般のお客様にノマタ酒店を利用してもらうにはどうすれば」と悩み、とにかくやってみよう、自分の手で何かしていかなければ変わらない、そう思って始めたのがニュースレター「またのもて」でした。

ニュースレター「またのもて」

 元々、広告チラシを配ることはしていましたが、それではお客様の反応はわかりません。もっとノマタ酒店を知ってもらいたい、興味を持ってもらいたいと、ちょっとしたニュースレターという形でお客様へ発信していくことで、お客様との関係を築くことが出来るのではないかと考えました。最初は自社に届く案内やチラシを真似し、企業や施設に行ったときに置いてあるお知らせチラシなどを見て勉強を始めました。徐々に内容を変えていき、自社が関わるイベントの報告やそこで取り上げた日本酒を載せ、より「ノマタ酒店はこんなこともしているんだ」と興味を持っていただけるよう作成を心がけてきました。

 発信を始めた当初の反応は薄く、社内でも無駄なコストだと必要性を理解してもらえませんでした。しかし、自分のこと、会社のこと、地域のことを書き進め、不定期ながらもお客様へ発信を続けることで、お客様から評判を聞くことが増え、来店する方や、配達先でコミュニケーションが増えていったことが実感できました。

 実は当時、社内でもコミュニケーション面に課題を抱えており、どうにかならないものかと思っていたのですが、お客様と関わる際にニュースレターの発信とその反応が返ってくることや、自分のこと、会社のことを私の目線で書いているニュースレターそのものを家族が読んでいくうちに、不思議と社内の雰囲気も良くなってきました。

 また、私自身、どこか数字ばかりを追っていた節がありましたが、お客様との繋がりの重要性を痛感していく中で、ノマタ酒店のお酒で、お客様が喜んでくれるということの大切さを考えるようになりました。

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 ニュースレターまたのもては、現在50号を発信することが出来ました。不定期ではありますが、今では約900件のお客様へ発信を行っています。何かやらなければと始めた取り組みが、私の色々な環境を変えてきてくれました。

変わり始めた価値観と柏崎との繋がり そして同友会

 正直なところ、私は就職するまで、日本酒という文化を全く理解していませんでした。少しずつ変わってきた価値観の中で、日本酒を次世代に繋げたい、伝えていきたいと考えるようになりました。若年層の日本酒への関心が低くなってきている等、壁は大きいかもしれませんが、日本酒を文化として愛し続けてほしいと思っています。愛し続け、柏崎だけでなく、新潟にはこんな美味しいお酒があるんだと、多くの方に知っていただき、ずっとずっと続けていきたいと思っています。

201910feature4.jpg 近年そんな想いから、柏崎の行政から協力を得ることで、柏崎のお酒・新潟のお酒を知ってもらうための展示会に参加したり、市内でのイベントを企画したりすることが増えてきました。酒蔵・酒屋・味噌屋・珍味屋・お菓子屋等、市内の発酵に関わる企業へ協力を依頼し、柏崎の魅力を発信するイベントを開催しました。

 同友会には、柏崎支部の起ち上げの際に声をかけていただき、魅力を感じて入会。異業種との交流を深めて行く中で、いかに自社の経営を考え、自社が良くなることで地域や様々な環境を変えていく、ということを真面目に考えている場だと思っています。

 私自身は経営者ではありません。しかし、何かあった時には自分が経営者になれるよう、私が成長するために勉強が出来ていると感じています。

 お客様の笑顔や喜びを大切にし、ノマタ酒店のお酒が、飲んだ方の人生の一部になってほしい。そんな想いと共に頑張っていきたいと思います。

【㈲ノマタ酒店 五十嵐 竜太(柏崎支部)記】


201910feature5.jpg㈲ノマタ酒店

〒945-0066 柏崎市西本町2-6-21
Tel. 0257-22-2219
Fax. 0257-24-8707
◎事業内容
酒類販売