特集:輝く!新潟企業家[2019年4月号]

NPO法人 みらいずworks 代表理事 小見 まいこ(新潟支部)

中高生と企業をつなぎ、新潟の「みらいづくり」に貢献したい

小見 まいこ(新潟支部)
NPO法人 みらいずworks 代表理事

新潟の未来を担う子ども・若者が育つ仕組みづくり

 みらいずworksは、新潟市を拠点に県内外で学校や地域でのキャリア教育を支援するNPO法人です。

 キャリア教育とは、一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す取り組みを指します。弊団体では、社会に接続できない若者たちが増加しているという課題から、中高生のキャリア教育授業に取り組み始め、8年目を迎えようとしています。

 社会の変化に伴い、大学入試が大きく変わり、英語教育の早期化、プログラミング教育の導入など、教育改革の真っただ中の日本です。企業においても、若者の変化を肌で感じていたり、求める人材像が変わってきたりしていることでしょう。そこで、弊団体では、「これからの社会や新潟の未来を担っていく子どもたちの学びを変えていかなくてならない」、「学校だけではなく、社会総がかりで子どもや若者たちを育ていく新潟にしたい」とビジョンを掲げ、教育の当事者を増やし、次世代の子どもたちの学びを支える連携や仕組みづくりに取り組んでいます。以下、主な二つの活動を紹介します。

新潟で働く大人や企業の魅力を伝えるキャリア教育マガジンの発行

 第一の活動は、新潟で働く身近な大人を紹介する中高生向けキャリア教育マガジン「みらいずBOOK」の発行です。「新潟で働く身近な大人たちの今につながるストーリーやひたむきに働く想いを中高生に伝えたい」という考えから、2014年に創刊しました。2019年1月末には、第5号を発刊し、新潟県内のすべての高校1年生と10市町村の中学1年生に無料で教材として配布しています。

 みらいずBOOKは、2012年にみらいずworksを創業した当初からあたためていた事業でした。問題意識としては、第一に、新潟県の人口減少問題です。新潟県は、毎年約20000人の高校生が卒業します。その内、就職や進学で県外に転出する人は約7500人(約37%)います。その後、県外大学からUターンするのは2000人であり、県外進学者の約30%でしかありません。残りの70%は県外に行ったまま戻ってこないという現状があります。新潟県外に転出する前の高校生に、「新潟にも自分のやりたいことができる会社がある」「新潟にもこんな面白いことしている大人がいるんだ」ということを知ってもらいたい。それが新潟にいつか戻ってこようという意識につながるのではないかと考えました。


中高生向けキャリア教育マガジン「みらいずBOOK」第5号

中高生向けキャリア教育マガジン「みらいずBOOK」第5号

第5号の特集テーマの一つが「暮らしのエネルギー」。特集で新潟のエネルギー資源について学んだのち、エネルギー関連企業で 働く大人たちが登場する。

紙面:テーマは「暮らしのエネルギー」

紙面:エネルギー関連企業で働く大人たちが登場

 第二に、高校時代は、学校と塾、家庭以外の大人と出会いにくいということです。進路選択を間近に控えた高校生が、進路を考える上で、リアルな情報が足りていないのではないかと考えました。高校生の3人に1人が将来を考えると不安になるという調査結果も出ています。それは身近に憧れとなる大人が少ない、将来がイメージしにくいことが原因にあると予測しました。そこで、有名人や東京で活躍している人ではなく、自分たちの高校の先輩や近くにある企業で働く大人が、どんなきっかけで進路選択をし、どんな想いで今の仕事に就いたのか、高校生時代の学びや原体験が大人になってどんなふうにつながっているのか、なるべくリアルに中高生に届けたい。加えて、新潟には世界で活躍する企業や社会の発展のため邁進するすごい大人たちがたくさんいることを高校生にもっと知ってほしいと考えました。それらの企業や大人との出会いを通して、中高生が自分の未来を「ワクワク」と考え、描くきっかけになればと願っています。

授業でリアルな大人と対話する授業は、大人と高校生がWinWinの関係に

「みらいずBOOK」を活用した授業のひとコマ【写真】「みらいずBOOK」を活用した授業のひとコマ。読んだ後、冊子内にあるワークシートに記入している。

 みらいずBOOKの特長は、配布して終わりではなく、「教材」であること。そして、みらいずBOOKから派生して高校で出前授業もできることの2点です。学年の1年生全員に配布することから、職場体験やインターンシップの事前学習として、学校の授業で実際に活用してもらっています。じっくり読むだけでなく、大人のストーリーをきっかけに生徒同士が対話するなど、様々な授業展開が行われています。2点目の出前授業では、学校の依頼により、紙面に登場したゲストに出会える機会を作っています。20名前後の社会人をお招きし、10数名の少人数の生徒とキャッチボールをしながら、社会人の話をしたり、高校生の悩みを相談したりする授業を企画し、セッティングします。高校生は、目をキラキラさせ、紙面を読んでもっと詳しく聞きたかったこと、リアルなところを突っ込んで聞いていきます。大人にとっては、高校生にプレゼンしたり、対話したりするので、仕事とは何か、何を大切にして生きているのかなど、改めて問われる機会となります。また、異業種の方と出会い、刺激を受ける大人も多く、「自分の仕事に誇りが持てた」「中高生に負けられない、もっと成長したい」と仕事への取り組みが変わってくる方もいらっしゃいます。


プレゼンの風景【写真】「みらいずBOOK」に登場した人に、高校生が出会う。毎回参加してくださる大人も多く、プロ講師のようにプレゼンが上手な方もいらっしゃる。


高校生×食文化で新潟を誇りに思う機会に

 第二の活動は、「NIIGATA 高校生キッチン」の企画です。新潟駅の西口リニューアルに伴い新しくできた「km-0 niigata lab」で高校生とシェフが企画したメニューを三日間限定で提供するというイベントです。JR東日本様と一般社団法人ピースキッチン様と協働して、新潟の高校生に食の魅力を知ってもらい、新潟に誇りや愛着を持つ機会にしたい。加えて、シェフと高校生キッチンのコンセプトやメニューを考案したりする中で、高校生にこれからの社会で求められる企画力や課題解決能力、起業家精神などを身につけてほしいと企画しました。

 初回は、2019年3月28日より30日まで三日間限定で、オープンします。糸魚川市にある海洋高校の生徒5人と長岡市を拠点とするSUZUグループのオーナーシェフ鈴木将さんが中心となり「高校生キッチン」を運営します。

 来年度以降は、新潟の食に関わる企業の皆様と協働し、高校生が新潟の誇る食文化を学び、発信する機会としてさらに発展させていく予定です。若者と新潟の豊かな食をつなげる取り組みを通して、新潟の「美味しさ」が当たり前でないこと、新潟には誇るべき文化や営みが豊富にあることを若者や県内外の人に伝えていきたいです。

初の高校生キッチン、企画会議での様子【写真】初の高校生キッチン、企画会議での様子。高校生とシェフや関係者の関係ができた後は、キッチンやメニューのコンセプトを検討する。

【NPO法人みらいずworks 小見 まいこ(新潟支部ウエスト地区)記】