特集:輝く!新潟企業家[2017年9月号]

有限会社 山波農場 代表取締役 山波 剛さん(柏崎支部)

創業者の想いをしっかりと受け継ぎながら トップとしての責任を果たしていきたい。

山波 剛さん(柏崎支部)
有限会社 山波農場 代表取締役

有限会社山波農場の誕生

 ㈲山波農場は平成4年11月2日、創業者である私の父が設立しました。父は昭和60年、40歳のときに勤めていた建設会社を退職し、米つくりの専業農家として生きていくことを決意しました。

 何故一大決心をしたか。そこには地域の実情が大きく関わっています。柏崎市「別俣」地域は市街地から15kmほど南へ入り、山で覆われた農村地域です。平年で2mを超える雪に覆われ、5ヶ月は雪との闘いになります。そんな地域で暮らす方々は、若い方を中心に商工業に仕事を求め、住居も柏崎の中心地へ移す決断をされる方が多く出てきます。その結果、昭和の後半から地域の少子高齢化、過疎化が進み、各家での米つくりの継続が困難な状況となっていました。そこで父は決心します。「自分が専業農家となり地域の農業の担い手となろう」と。当時私は14歳、中学二年生でした。

 地域に農業の担い手ができると、地域の方々が待っていたかのように離農を選択し、所有している農地を父に預けて下さり、経営規模は毎年拡大していきました。

 専業農家となり5年も経つと、父、母、祖父、祖母での労働力の限界がすぐそこまで来ていました。私は19歳、高校を卒業し、2年制の専門学校に通い、職業選択を迎えるときに、父から後を継いでくれないかと話があり、後を継ぐことを決意しました。平成3年4月20歳で就農です。

こしひかりとこがねもち 別俣地域では、山波家に跡継ぎが入ったということでより信頼を頂き、経営規模は益々拡大し、家族労働力だけでの限界でした。創業者は家族以外の労働力が必要と考え、家族以外の方に勤めて頂くには他産業並みの待遇でなければ優秀な人材は来てくれないと、会社設立を決断しました。㈲山波農場の誕生です。

事業内容

 創業者は、創業当初から農業は3月から10月までの売上げ、通年雇用を可能にするには一年を通して売上が必要と、冬期間に地域の道路除雪を請け負っていました。現在は当初1台だった除雪車も、台数が増え、社員全員除雪業務に携わっています。その他に平成13年から、収穫したもち米を切り餅に加工して販売もしています。現在は米生産及び精米販売、切り餅加工販売、道路除雪と三本の柱で事業を運営しています。

社員から役員へ、そして代表へ

小学校での訪問授業風景 平成4年会社設立時、役員は創業者1人でした。私にも役員への打診はありました。ですが、当時21歳の私は就農して2年目、仕事もさわり程度しか知らないのに肩書きがつくということが自分自身で納得がいかず、一社員として勤めることを選択しました。平成7年には家族以外の方が初めて入社し、私に後輩が出来ました。少しずつ社員が増え、平成12年30歳を迎えた頃、創業者から役員の話をもらい、自分自身でも仕事に対して自信がついてきたので、役員になることを了承しました。社員から役員になった私に、様々な場面で経営に関わる仕事を任せてくれました。この頃から社の代表を意識するようになり、今振り返って考えると、創業者が後継者育成を考えて育ててくれていたと感じています。

 それから10年後、私も40歳になり、創業者より代表職に指名を頂き、㈲山波農場の全ての責任を背負う立場になりました。

トップダウンからボトムアップへ

 役員に就任した当初から考えていた事がありました。トップダウンからの脱却です。創業者は自分一人で起業し、自分一人で会社を大きくしてきたこともあり、この業界でもカリスマ的な存在でした。ただ、社員も増えていく中、全ての業務を創業者が仕切り指示していたため、なかなか社員が育たないことが見えてきました。私には創業者のようなカリスマ性はないので、社員が自ら育ち、自ら動き、社員が会社を動かす、その形が理想だと考えていました。創業者が牽引できるうちはいいが、世代交代が行われてからでは手遅れになりかねないと思い、役員に就任した事を機に少しずつではありますが、社員に責任を持たせ、自発的に動けるように組織を変えていきました。
笑顔の社員

 初めは、今までと違う組織体制に戸惑っているようでしたが、徐々に慣れ、現在は新入社員が入社しても、社員が社員を育成し、社員の業務に対する責任感も出て社内の雰囲気も良くなったと実感しています。

中小企業家同友会との出会い

 私が代表職に就き、7年が経とうとしています。まだまだ勉強不足で、企業を背負うには足りない部分が多々あり、様々な場面で不安を抱えていました。そんな中、中小企業家同友会柏崎支部(当時は準備会)の中村様、藤澤様に「様々な企業家が集まり、企業家だからこその課題を出し合い、共有し、解決へ導く素晴らしい会があるので、是非参加してみて下さい。考え方が変わりますよ」と同友会への入会を勧められました。様々な方と交流させて頂くだけでもありがたいと思い、参加してみることにしました。

 参加してみると柏崎支部以外の企業家の方々も大勢参加されており、異業種、他地域の方々と交流させて頂くことは、想像以上に勉強になりました。経営の悩み、トップの悩みを出し合い解決のヒントをたくさん頂き、ありがたかった事を覚えています。その日に入会を決断し、以降同友会で多くのことを学ばせて頂いています。今では私の企業家としてのよりどころとなっています。

私たちの未来

 私は企業のトップである以上、その責任を全うしなければなりません。創業者の後を継ぐ決意をして27年、代表に就任して7年、地域、関係企業、行政の方々にご指導頂きながら支えて頂いていることに感謝しています。何より社員全員が全力で支えてくれていることに幸せを感じています。地方の過疎化、少子高齢化、昨今の気象変動、時が流れると状況も刻々と変化して行きますが、創業者がこの地域を守ると決めたその想いを私たちはしっかりと受け継ぎながら、この会社で働く全ての社員が笑顔で定年を迎えられるよう、トップとしての責任を果たしていきたいと考えています。

【有限会社 山波農場 山波 剛(柏崎支部)記】


有限会社 山波農場

 有限会社 山波農場

〒945-1244 柏崎市水上467番地
Tel.0257-29-2442
Fax.0257-29-2130
◎事業内容
米生産及び精米販売・切り餅加工販売・道路除雪