特集:輝く!新潟企業家[2017年7月号]

中村ターンテック㈱ 代表取締役 歌代 秀和さん(柏崎支部準備会)

会社のみんなが「仕事のやりがい」と 「豊かな生活」を実感できるように整えていきたい

歌代 秀和さん(柏崎支部準備会) 中村ターンテック㈱ 代表取締役

入社のキッカケ

 当社は主に旋盤という工作機械で、小さな精密部品を加工している会社です。加工した部品は、電気機器、輸送機器、医療機器、産業機械など幅広い分野で使用されています。1個から数百個の小ロットの注文が多く、月間約1200種類の部品を加工しています。30年ほど前から多品種少量生産を目指し、技術や生産体制を磨いてきました。今年で創業から64年になりますが、創業時に手掛けていたような量産品は海外生産への転換が進んでおり、現在は数が少なくて難しい加工に特化しようと取り組んでいます。

 また、当社は「先端技術と職人技の融合」を大切にしており、設備は最新のNC工作機械もあれば、創業当初から今も稼働している手加工用の機械もあります。近年は新卒者を中心に若い技術者を採用し、ベテラン技術者からの技能承継に力を入れています。

 そんな会社の代表の私ですが、以前は地方銀行に勤務していました。柏崎の高校を卒業後、バブル景気の時代を東京の大学で過ごし、1993年に新潟の地方銀行に入行。バブル末期の、最後の大量採用の中の一人でした。いわゆるバブル社員ではありましたが、柏崎、直江津、吉田などへの転勤や、預金、融資、渉外などの係替を繰り返していくなかで、どんどん仕事が面白くなっていきました。いろいろな経営者の方々と接する機会も多く、銀行で学んだことは今の仕事の中でも活きています。

作業風景 中村ターンテック入社のキッカケは、2003年に同社社長の娘である妻と結婚したことでした。当初は銀行員を続けるつもりでいましたが、同年1 1月に妻の父親(社長)が脳卒中に倒れ、事態は一変します。当時、妻は経理担当として会社に携わっていました。妻から会社の様子を聞いたり、リハビリに励む義父(社長)や義母(常務)とも話をしていく中で、銀行を退職して中村ターンテックに入社することを決意しました。

 2005年4月に私が入社した時は、義父は右手右足は不自由ながらも、車が運転できるまで回復し、毎日出社して仕事もこなしていました。また、社長が倒れたことで社員が結束し、各部門長の責任感も増して、社内は良い方向へ進んでいると聞きました。

入社してから

 私は入社後、まず資材の担当をすることになりました。販売管理システムで受注や作業指示はシステム化されていたものの、資材関係の事務は全て手書きで行われており、その改善から着手することになりました。システム業者と相談しながら、8月には資材関係をシステムに乗せて事務担当に引き継ぎ、次はお客様の窓口を担当することになりました。

作業風景 ところが加工の知識がないとお客様と全く話にならず、技術的な知識と経験を積むため、すぐに製造現場へ入ることになりました。実際に工作機械を操作したのは2年ほどで、たいした知識を身につけることはできませんでしたが、それでも簡単な製品を初めて自分だけで作った時は、とても嬉しかったことを覚えています。

 製造現場を出てからは営業面を強化しようと、受注目的のホームページの構築や、展示会への出展を積極的に行いました。製造業の経験が浅い私でしたが、ホームページや展示会への取り組みは、自社の強みや方向性を考える良い機会になりました。

 業績は順調に推移していましたが、2008年の秋にリーマンショックが起こります。翌年2009年4月、受注が激減する中で専務に就任しましたが、平日も休業するような厳しい状況が続きました。しかし、休むくらいなら時間を有効に使おうと、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)やチームビルディングの講師を呼んで研修会を行ったり、2010年にISO取得のための準備と研修を始めました。そして2011年にISO9001(品質)と14001(環境)の認証を 取得。取得までの1年は、主任以上の12人と純粋に仕事の話を重ねることができ、とても有意義な時間でした。ISOは、後継者として転職してきた私が社内を把握するのに適したツールだったと思います。社員ひとり一人のスキルが明確になり、社内の仕組も整理されました。親しみやすいコンサルタントのおかげもあって、社員も楽しみながら、今もISOを活用しています。

 2012年からは社長の弟(製造部長)に代わって、製造現場全体を統括することになりました。技術的な知識の不足は否めず、不安もありましたが、社員の協力と、少しずつ改善を重ねてきた管理システムの効果もあって、大きな混乱はありませんでした。しかし、社内では常に何か問題が起こっていることを痛感したのは、この時期です。その問題を解決するのが管理者の仕事であり、管理者を育成するのが私の仕事だとも感じました。

 同じく2012年に全日本製造業コマ大戦(https://www.komataisen.com/)に出会いました。直径25㎝の土俵の上で、直径2㎝以下のコマで闘うというものですが「日本の製造業を盛り上げよう」「ものづくりの面白さやカッコよさを伝えよう」という目的で、全国から熱いメンバーが参戦しています。当社の社員も興味を持ち、新潟県予選や全国大会に出場して、そこから全国の製造業仲間との繋がりが広がりました。社員も私も、他社のエンジニアや経営者と接することで、とても良い刺激をもらっています。自分の役割のひとつは、日本の製造業の発展に寄与することかもしれない、と思ったのがこの頃でした。

会社のみんなに幸せになってほしい

 2015年4月に代表を交代することになりました。私が45歳、社長(現会長)が65歳、私が入社して10年、中村ターンテックとして弥彦村へ出てきて20年、というキリのいい年でもありました。社長になって激変したことはありませんが「会社のみんなに幸せになってほしい」という想いはより強くなりました。

作業風景 入社してからずっと、社員が効率よく、気持ちよく働けるようにと、仕組の構築やPCによる管理システムの改善を進めてきました。これまで自分の得意分野で会社の苦手分野を克服していくようなイメージで改善を進め、効果も実感できましたが、10年を経過した頃から改善のスピードが落ちてきたと感じています。今の環境に慣れてしまったせいもあると思い、最近は社内で部門別の少人数ミーティングを実施したり、他社を訪問したり、異業種の展示会へ出かけたりして、自分へのインプットを増やそうと努めています。

 私は「いい仕事をするから、経済的に豊かになり、豊かな生活があるから、いい仕事ができる」という循環が大切だと思っています。会社のみんなが「仕事のやりがい」と「豊かな生活」を実感できるよう、方向性を模索しながら改善を進め、環境を整えていきたいと思います。


中村ターンテック㈱中村ターンテック㈱
〒959-0308 西蒲原郡弥彦村大戸635-5
Tel.0256-94-5500
Fax.0256-94-5522
◎事業内容 精密切削部品製造:電子機器、輸送機器、医療機器、産業機械等の精密部品