企業進化論〈66〉㈲弥生商店[2020年2月号]

㈲弥生商店

新たな挑戦を続けながら地元に必要とされる企業になりたい。

㈲弥生商店
代表取締役:羽生雅克(はにゅう・まさかつ)

住所:西蒲原郡弥彦村大字弥彦934
TEL:0256-94-5841
FAX:0256-94-5065
事業内容:酒類販売業
創業:1955年 設立:1962年
従業員数:名

昔はどこの集落にもあった雑貨店ような酒屋

 ビールや日本酒はもちろん、洗濯洗剤、ローソクに線香、食パンにお惣菜まで。多くの商品が狭い店内に並び、地元のお客様で賑わっている。私が幼心に覚えている㈲弥生商店本店の店内の光景です。昔どこの集落にも一つはあった食料品や日用品を取り扱う〝雑貨屋〟のような酒販店。それが㈲弥生商店の始まりです。

 創業者であり祖父の羽生七兵衛は祖母の羽生キミと二人、昭和30年頃に弥彦村で商いを始めました。そもそも羽生家は旧巻町福井(現在の西蒲区)で醤油の醸造業を営んでおりましたが、祖父が弟に家業を譲り、商店の権利を持って弥彦に出店しました(現在醤油醸造業は廃業)。

 最初は酒の小売免許もなく、廃業された酒販店の免許を譲り受けて酒類の取扱を開始。会社として登録したのは昭和37年(1962年)です。弥彦温泉や近隣の企業、個人のお客様を中心に商いをさせていただいておりました。その後、近隣のスーパー、ディスカウントストアーの出店により、より専門的な形態に転換しなければ、生き残ることは出来ないと判断。祖父に代わり2代目の羽生信二(現弥生商店会長)が昭和62年に〝地酒専門店〟へと業態を転換しました。店舗の改装、新潟清酒の酒質の向上、そして新潟の地酒ブームの後押しもあり、小規模ながら堅調に経営を続けてきました。

〝おやひこ様〟の門前に趣のある新店舗を開店

 平成に入り、酒類の小売業界はドラッグストアーやホームセンター、そしてコンビニエンスストアーの出店と、さらに厳しさを増していました。

㈲弥生商店 外観 その頃、㈲弥生商店本店はバイパスの開通により車の通りが変わり、新規や観光のお客様が少なくなっているという問題に直面しておりました。県内有数の観光地である〝弥彦山〟と〝越後一之宮 彌彦神社〟からも少し離れている為、より多くの観光客、新規のお客様と接点が望める箇所に事業所をと、平成14年(2002年)に彌彦神社の近く、四季の宿みのや様向いに「酒屋やよい 彌彦神社前店」を開店いたしました。

 歴史ある〝おやひこ様〟の門前に趣のある店舗をと、新店舗のデザインは古民家再生建築デザイナーのカール・ベンクス氏に依頼。旧松代町から古民家を移築し、2階建ての古民家を再生した地酒専門店を建築。三代目 羽生雅克の入社とともに新店舗をスタートしました。

 新店舗は彌彦神社から近く、より多くのお客様に御来店いただけ、店頭販売のみならず、全国への発送業務も順調に伸びて行きました。とは言え、観光地のため直接的な被害はないものの、水害や中越地震、中越沖地震の影響が大きかった年もありました。山あり谷あり、お客様に支えていただきながら、なんとか2店舗を営業してきました。

 平成29年(2017年)、より専門的に、〝ゆっくりと新潟の清酒をテイスティングして頂きたい〟と、中小企業持続化補助金を受け、彌彦神社前店2階に「酒屋やよい テイスティングルーム」を整備しました。2階のスペースでのイベント開催や、蔵元や杜氏をお招きし、て試飲会やスタッフ勉強会の開催等、酒屋やよい彌彦神社前店の専門特化により、お客様のご依頼は神社前店に集中するようになりました。

地元の人に喜んでもらえるお店になるために

202002evolution3.jpg それとは逆に、㈲弥生商店本店の機能は地元飲料店・旅館様への配達業務と、昔からお付き合いいただいている企業、個人のお客様へと集中し、売上は縮小していました。本店を閉めて倉庫にすることも考えましたが、「これまで支えていただいた地域とお客様に恩返しできる本店にしたい。弥生商店が存在することで、喜んでいただける事業に取り組みたい。」と、平成30年9月に、三代目の羽生雅克への事業承継に伴い、平成29年度補正事業承継補助金の採択をいただき、新事業として㈲弥生商店本店の店舗を改装し「発泡酒醸造業」に取り組みました。本店の店舗内半分を醸造所、半分をタップルーム(飲食部門)としてバーカウンターを整備。平成31年4月11日に国税局より発泡酒醸造免許の交付を受け、令和元年5月1日に弥彦村初のクラフトビール醸造所「弥彦ブリューイング」を開業いたしました。弥彦村産の特別栽培米を使用した「伊彌彦エール」や弥彦村産の枝豆を副原料に使用した「伊彌彦枝豆エール」等々、個性ある味わいのクラフトビール(発泡酒)の醸造、販売に取り組んでいます。

〝老舗〟と呼ばれる企業を目指して

202002evolution4.jpg 酒の業界は、若い方々の飲酒離れや、消費状況の変化など、様々な不安要因があります。しかしながらインバウンドの取り込みや、弥彦村の農産物を使用した新商品の開発等、新たな挑戦を続け、地域に必要とされる企業となるべく取り組んで行きたいと考えております。㈲弥生商店は昭和37年の設立ですので、まだまだ老舗と呼ばれる程の年数ではありませんが、〝老舗〟と呼ばれる企業を目指して、スタッフとともに挑戦し、成長できる企業を目指して取り組んでまいります。

【有限会社 弥生商店 代表取締役 羽生雅克(燕支部) 記】