企業進化論〈65〉有限会社 ピュアシャイニング[2020年1月号]

有限会社 ピュアシャイニング

社員の成長が企業の繁栄だということが実感できた

有限会社 ピュアシャイニング
取締役 石山 早苗(いしやま・さなえ)

住所:新潟県三条市本町1−1−31
TEL:0256-32-7100 0256-47-3740
FAX:0256-70-5039
事業内容:飲食業、美容業、心理業
創業:1991年 設立:2005年
従業員数:16名

人はその都度、その時に、最善の選択をしている

 私が最初の店であるスナックを開店したのは24歳の時でしたが、それまでは大型トラックの長距離ドライバーをしていました。30年前は新潟県で女性ドライバーの起用は難しく、関東圏の会社で雇ってくれるところへ引っ越してまで大型のドライバーに憧れ働いていました。

 しかし、大きな事故を起こした時に家族から猛反対を受け、母の強い勧めによりスナックを始めるという道に入っていきました。実は半年越しで口説かれてずっと断っていたのですが、事故を起こしたことにより断り切れなくなった感じでの開業だったので、その時にはこれといった深い思いや希望もなく、むしろただ流されていく毎日を過ごしていました。

 母は保険業を営んでおり、夜の仕事に関わっているというわけでもなく、どうして私にスナックをやれと口説いていたのか真相はいまだにわからず。そこでの決断も最後まで嫌だという事も出来たのに、反発ばかりしていた私が言いなりになってしまった事にも大きな意味があったのでしょう。

 今実感しているのは、人生には偶然や成り行きなどなく、すべてが必然なのだということです。私の決断、すなわち思考の癖が常に自分に対して最善の選択をしてきたということだと思います。ただ、その思考の癖というのは自分自身をも苦しめるものでもあったりして、やっかいなものです。何も考えていないような決断でさえ、本当は意識・無意識の中で行われた選択の一つで、自分では意図しない必然も、今の自分の人生に繋がってきていたと改めて感じています。

起業とは?どういうことなのか分からないままのスタート

 そんな始まりでしたので、お店の経営だの金銭感覚だのがまるっきりなく、カウンター7席4人掛けBOX席1つの7坪の小さなお店を、500万円の居抜きで購入してスタートしました。その頃は内装の権利を買うという売買方法だったので、建物や修繕にかかる費用や契約はまた別にあり、敷金・礼金・担保金など入れると、ぼろぼろの内装店舗に700万円という大金を借り入れての開業でした。

 スタートしてすぐに気づいたことは、譲り受けた方の言う事と全く違うという世界でした。言われるがまま鵜呑みにしていたことがあまりにも現実と違いすぎて、どれだけ無知な小娘だったのかと思い知らされました。

Club Purple 開業してお客様が誰も来ないという日からのスタートで、3日目にやっとお一人来られたお客様に、水割りを1杯お出ししてお会計と言われ、500円とお伝えしたところ、気味悪がられてその日限りお会いすることは2度とありませんでした。

 開業した時にただ一つ私の中にあった強い意志は、「何が何でも1年は続かせてやる」というがむしゃらな気持ちだけでした。何をしていいか分からなかったので、まず1日も休まず年中無休営業をこなしました。

そして1日1日お客様から聞いて、言われるがままを実行していくという日々でした。本当にお客様に育てて頂いたと思います。まさしく「お客様は神様」と思いスタートしました。けれど、それは後の山あり谷ありトンネルありの経験と共に間違いだと思うようになり、今では「お客様は共有者」と思っています。

「社員の成長は企業の繁栄」になるまでの道のり

 今までに働いてもらった社員は数知れないけれど、記憶に残る子はごくわずか。その日暮らしの子を初対面の日から家で面倒見る事も何度かありました。振り返れば問題の多い子ほど記憶にあるという基準になっていました。

 どの子も本当に様々な家庭環境や問題を抱えている子が多く、いつもトラブルの毎日で私は右往左往していました。私自身、他人様に言えないような事を経験したりもしてきたことも含め、「どうしていつも私はそのトラブルの渦中にいるのだろうか」と気付けるようになったのはここ10年のことです。

 開業してからの10年はバイトの子達に言いたいことも言えない毎日を過ごし、プライドだけでメンタルはどんどん弱っていきました。

 次の10年には飲食店が4店舗に増えたり、美容業も始めたりで社員数も50名程になっていましたが、状況といえば伝えたいことが伝わらない、わかってもらいたい事がわかってもらえない、の繰り返しでした。「この子の為に」が、思ってもいない方向へといってしまう歯がゆさに苦しみメンタルは更に悪化していきました。4度の移転、火事、裁判沙汰や警察沙汰などに、子供達のこと・・・仕事も家庭も許容範囲を超える出来事だらけでした。

 そして今の10年の中で突き詰めることができるようになったのは心理を取り入れた事が大きかったです。その中で出た答えが、社員の成長は企業の繁栄なのだと実感した事です。社員のメンタル次第で社内雰囲気はいかようにも変わり、それが売り上げにも直結していくという事を体験から学びました。そしてその指南役が私自身なのだという事もしっかり認識できました。

 今では、当社を辞めてそれぞれの道に進むOB・OG達とも定期的に過ごしています。会社の付き合いが終わっても、苦楽を共にした人としての関係を続けさせてもらっています。

202001evolution2.jpg 現在、当社に入った子達をいかに成長させて、どんな形で送り出してあげることができるかを念頭において、育む姿勢で会社経営をしています。

 私がこの答えをみつけることができたのは、経験からの様々な理由も大きいですが、一言で言うなら「自分改革」したことでした。いわゆる「自分と自分を繋げる」という作業なのですが、わかりやすく言うと「思考の癖」を見つけて整理しながら日々を送るということです。それは経営理念探しととてもよく似た作業であると、同友会女性部会主催の経営指針基礎セミナーに参加しながら感じています。

コミュニケーションを活かしてこれからへ

 28年前に始めた頃、いつも「どーせ自分は飲み屋の女だし」と、自己肯定感ゼロに近い私でした。現実にそんな言葉を投げかけてくる方もたくさんいらっしゃいました。

 ですが、この28年間に感謝し、過去から学び、仕事を通じてこれからの私がやるべき事に進んでいこうと今思えていることがとても清々しいです。

 当社の事業内容はコミュニケーションのプロ集団が送る、誰をも笑顔にするコミュニティーの場の提供だと思っています。その付加価値が技術であり、癒しの時間でもあります。

 そして私自身はそんなコミュニケーションのプロを育成していく事を喜びとして、自律型人材を社会に送り出すという事を掲げ、社会貢献の一端を担っていく企業でありたいと思っています。

 働く社員が職場に自分の価値を見出し、居場所づくりができることで、誰をも笑顔にできる環境ができ、幸せのコミュニティーが生まれると確信しています。

 最後に、企業の進化は私の成長(進化)そのものだと感じました。

【有限会社 ピュアシャイニング 取締役 石山早苗(三条支部) 記】