企業進化論〈63〉株式会社 越善[2019年11月号]

株式会社 越善

つながりを大切に。これまでも、これからも。

株式会社 越善
代表取締役 常谷 登(じょうたにのぼる)

住所:上越市大和1-1-21
TEL:025‐546-7390
FAX:025‐546-7833
事業内容:飲食業・病院、学校の食堂運営
創業:2009年
設立:2012年
従業員数:30名

畑違いだった飲食店 越善の成り立ち

 上越市にある建設業の会社で、営業として勤めていた2009年。上越新幹線開通に向け、現在の上越妙高駅の付近の現場へ足繁く通っている頃のことでした。現場の方々と話をしている中で、「この辺りには手頃な飲食店がなく、お昼や休憩の際に〝こびり〟(軽食)にありつけない」ということを耳にします。私自身も営業で飛び回ることが多く、安価で空腹を満たせる店が少ないと感じていました。そうした仕事でのつながりやコミュニケーションと、私自身の実感をきっかけに、上越妙高駅の近くに、蕎麦屋をオープンすることになります。

 オープンさせた蕎麦屋は、当初調理師免許を持っている妻と、パートさんの2人で切り盛りしてもらい、私は会社勤務の傍ら行っていました。北陸新幹線の開業に向けて、人が入り乱れている時期だったため、店は新幹線が出来るまで、工事業者さん達で賑わいを見せていました。

 オープンから3年が経つ頃、お客様も増え、妻とパートさんでは手が足りないということもあり、勤めていた会社を退社。51歳の時に、蕎麦屋を株式会社越善として起業しました。社名の由来は妻が福井県出身であることからその音をとって〝越善〟。越前そのままとしなかったのは、画数や意味合いなど色々調べた結果です。

現在に至るまで

 株式会社越善は、現在、6つの事業を行っています。一度に手広くやっていこうと決めたわけではなく、少しずつ、仕事で繋がったご縁ある皆さまの要望に応えながら展開をしてきました。

 私は営業時代から、人と人との繋がりを何より大切に考えてきました。前述したようなコミュニケーションを大切にする姿勢がなければ、起業することも今の会社もなかったと思うくらい、人と人との繋がりは大切であり、商売の源であると思っています。

 展開している事業もまた、人と人との繋がりで拡がっていきました。私が起業したことを知った方から、私立高校の学食の話を頂き、お引き受けしました。元々蕎麦屋でも、安価で空腹を満たせることをコンセプトにしていたため、食欲旺盛な若い方向けの学食を行うことも大きな変化もなく取り組めました。それぞれ、値段を抑えることを考え、麺のコストを抑え、安価で提供するため、自家製麺の製造を始め、事業化を行いました。

 規模の拡大にあたり、人手不足解消・従業員を増やすために、建設業も始め、その関係で出会った人からの紹介で、ビジネスホテルの食堂も始めます。建設業は公共事業のお話を頂くことが多く、その仕事から、農業関係の事業にも従事する方々と繋がり、お米の卸販売も始めることが出来ました。お米は、県内産を主に県外へ販売し、上越のお米を発信しています。魅力の発信に私自身が県外へ足を運ぶことがなかなか出来ずにいますが、新潟の味を知ってもらうことを非常に面白く感じており、今後も進めていきたいと思っています。

 ここまで、繋がりを持って、多様な事業を展開してきました。創業が古く、歴史ある会社の皆さまもとても魅力的ですが、当社がおかげさまでこうして幅広く事業を展開できるひとつの要因は会社の経歴が浅いからこそ思いっきり挑戦することができたからだと思います。今はまだ、自分や会社を縛るものは少なく、展開・展望をしっかりと見据えながら、新しいことに挑戦できる期間だと思っています。

越善の抱える「事業承継問題」

立ち食い蕎麦 越善 これから越善が進めていく課題は、事業承継です。起業時51歳、現在58歳の私は、「早い」と思われるかも知れませんが、いずれ引退することを見据えた動きをしなければならないと考えています。その際に、「株式会社越善」の名前を引き継いでくれる人材を育てる必要があります。越善には現在6事業あり、当然ながら私はすべての事業を見ています。後継者はできれば私の思いを伝えることのできる1人がいればと思っていますが、必ずしも1人に限定することなく、その事業の仕事に適した人材に担ってもらうことも是非考えたいと思っています。そんな人材が育つ、入社したいと思える会社を作ることはもちろんですが、そんな後継者を育成したり、さまざまな手段やご縁で見つけることが私の引退までの仕事だと思っています。私の願いは、新陳代謝を行いながらも、越善の名前が残り続ける会社であり続けることです。

 私は、賃金格差や地方格差があるこの時代でも、誰でも働けて、誰でも活躍できるということを若い方たちに知ってもらい、「一生懸命やれば誰でもたくさん稼げる」という経験をしてもらいたいと思っています。経験は、考えるだけ蓄積されるものではありません。当社が、働く人々が考え、行動する経験を得られる企業でありつづけたい、またそういう思いを受け継いでくださる会社の後継者を探しています。

「繋がり」と「一生懸命さ」

 私が同友会に入会したのは、2019年7月のことです。知り合いから紹介され、上越支部は顔見知りの多い部分もあり、少し安心しています。しかし、異業種の経営者として深くお話しする機会はあまりなかったため、この繋がりを大事にしていきたいと思っています。

 人との繋がりは、欲から生まれるものではありません。一生懸命働いて、その一生懸命さが相手に伝わったときに、自分と相手の信頼関係が生まれるのだと思います。

 越善は、私や社員が一生懸命働き、人との繋がりが大きく関わり出来、成長してきた会社です。

【株式会社 越善 代表取締役 常谷登(上越支部) 記】