企業進化論〈61〉㈲芹澤ミシン商会 SMSエージェンシー[2019年9月号]

㈲芹澤ミシン商会SMS エージェンシー

人生は、奇跡の出会いの連続。 すべての経験に、無駄は一つもありませんでした。

㈲芹澤ミシン商会SMS エージェンシー
専務取締役 芹澤 晃一(せりざわ・こういち)

住所:新潟県五泉市木越1895-1
TEL:0250-43-0503
FAX:0250-43-0236
事業内容:人材派遣業
創業:1962年(人材派遣業は2011年)
社員数:5名(人材派遣業の内勤者のみ)

ニットのまち・五泉市に生まれて

 有限会社 芹澤ミシン商会は、ニットのまちとして知られる五泉市で、メリヤス業を営む人たちのミシンサポートをするために誕生した会社です。

 創業は祖父で、私の父親が二代目にあたり、自分自身「お前はうちの三代目だから」と言われて育ちましたので、なんとなく将来はミシン屋さんかな、とぼんやり考えていました。

ギターとの出会い

 しかし、中学2年生の夏、運命の出会いをしてしまいます。

 お盆休みに訪れた、長岡市にある親戚の家で、従兄が目の前でギターを弾いてみせてくれたのです。

「カッコイイ!」

 すぐに、貯金しておいたお年玉をかき集めて楽器店へ。音楽雑誌も買い集めました。独学でコードを覚え、ギターに没頭する日々が始まります。

 中学3年になり、新潟市内の高校に行ってみたいという気持ちを両親に相談してみたところ、私立の高校を受験させてくれました。そして、その学校で待っていたのが、バンド仲間たちとの出会いです。

 ちょうど私が高校生だった時代は、空前のバンドブーム。ユニコーンやブルーハーツなどが台頭し、オーディション番組も花盛り。新潟市内にも、ライブハウスが次々にオープンし、意気投合した仲間たちと、バンドを組むことに迷いはありませんでした。

 ギターのおかげで、仲間とも出会い、ライブも経験でき、女の子にモテ・・・たかどうかはわかりませんが、充実した高校時代を過ごすことができました。もちろん、受験勉強は全くしませんでした!

プロをめざして上京

 そして私たちは、若さも手伝ってプロを目指すために全員で上京します。メンバーの中には、オーディション番組優勝経験者もいて、、夢は止まりません!

 まずは家賃の安い千葉県のアパートを借りて、アルバイトをしながらのバンド活動を始めました。交通誘導やビデオ店の店員、アパート管理会社やNTTの接続工事など、数え切れないほどの仕事を経験。

 しかし数年経つと、「生活」することに一生懸命で、バンドの練習はだんだん疎かになっていきました。張りきって始めた、自炊も掃除も洗濯も、ただの苦行です。必死で働いて稼いだお金も、あっという間に生活費に消えていきます。スカウトされることもなく、鳴かず飛ばずの日々・・・。しまいには、夢を語り合ったメンバーも、一人二人と実家に帰っていきました。

 私はといえば、夢をとっくに諦めたにも関わらず、まだだらだらとアルバイト生活にしがみついていました。しかしそんな中、高校時代から付き合っていた彼女との間に子どもができたことをきっかけに、結婚することに。ちょうど30歳でした。2人目が生まれる直前に、自分も東京生活を卒業して五泉市に戻ることを決意しました。

 しかし10年以上、アルバイトしか経験していなかった私に、世間の風は冷たいものがありました。派遣社員としてしか当時は生きる道がなく、父親の会社もバブル崩壊後は経営が厳しく「お前は自分の道を生きろ」と突き放されました。

運命の再会

 子どもを育てなければいけない。仕事がない。そんな焦りの中で、ぶらぶら歩いていると、道端で、昔のバンドメンバーとばったり会ったのです。

「元気だったか?」

 すっかり中年になり、父親になった私たちは、今度は生きる道について語り合うことになるのです。当時、派遣社員だった私と、派遣業を営む会社の社員だった仲間。

「一緒に、派遣会社を始めよう!」

 ゴールデンペア、復活の瞬間でした。しかし立ちはだかるのが、開業資金という壁。そこで、すっかり斜陽産業となってしまった父親の会社の「人材派遣部門」という形はとれないか相談してみます。

 意外にすんなりと受け入れてもらい、アルバイトしかしたことのない私の、経営者人生が始まります。

 2011年9月1日、有限会社芹澤ミシン商会の人材派遣事業部として、SMSエージェンシーの認可がおりて、研修や面接を行うためのスペースも確保。いよいよ、仲間と共に描く夢の続きが、始まりました!


求人情報誌、チラシ
求人情報誌やホームページを通じて、企業と人のマッチングを行います。

何も持たない自分だからできること

 たいていの仕事は経験してきたけれど、自分は何者でもなく、プロフェッショナルではない、というコンプレックスを抱えながら生きてきましたが、人材派遣業という仕事にのめりこむにつれ、次第に「それが、自分なんだ」ということに気が付き始めます。 「派遣」というとあまりいい印象を持たない方も多いかもしれませんが、様々な事情を抱えた方がいらっしゃいます。

 昔の私のように、夢を追いかけているので正社員の仕事はできない人、親の介護と両立できずにとりあえず派遣で我慢する人、ハラスメントで体調を崩し、しばらくは派遣でつなぐ人、など人間性も素晴らしく、優秀な方もたくさん登録していらっしゃいます。

 そんな時、何者でもない自分は、広く浅くではありますが、様々な立場の人たちを理解することができます。余計なこだわりを持たない分、変に固執せずフラットな関係を築くことができます。

 人生に無駄なことって、なかったんだな。

 次第にそう思えるようになりました。そして、自分のことをそんな風に思えた頃から、仕事も軌道に乗ってきたように思います。

同友会という新風

 開業して2年たった頃、知人の紹介で同友会に入会。現状はなかなか時間がとれず、行事に参加できていませんが、自分にとって同友会は、「締め切った部屋に窓を開けて風を入れた」瞬間のような、清涼感がありました。

 新しい価値観、意外な考え方に触れ、目から鱗が落ちたこともしばしば。他業種の経営者の話は、今の仕事に直接当てはまらずとも、聞くだけで価値がありました。

 自分も今後は、若い経営者に何か刺激を与えられるような、そんな存在でありたいと思っています。どうぞ今後とも、よろしくお願いいたします。

【㈲芹澤ミシン商会 人材派遣事業部 SMSエージェンシー 専務取締役 芹澤晃一(下越南支部) 記】


ギター
昔の相棒たちは、貴重な仕事のモチベーションに。