企業進化論〈60〉株式会社 新井田塗装店[2019年8月号]

株式会社 新井田塗装店

同友会に入会してできあがった会社の「核」。この核を元に社員と共にもっと成長していきたい!

株式会社 新井田塗装店
代表取締役:新井田 慎(にいだ しん)

住所:新発田市長者館700-1
TEL:0254-41-2636
FAX:0254-41-4369
事業内容:塗装業
創業:1970年
社員数:7名

新井田塗装店のスタート

 弊社は、東京で建築塗装を学んだ父である憲一が、昭和45年に、旧紫雲寺町稲荷岡で個人事業として創業しました。始めたころはまだこの地域に住宅を塗装するという文化がなかったので、住宅に塗装をすると長持ちしますよ、と大工さんに教えて回ることが仕事だったそうです。

 昭和50年以降は建築ラッシュで、在来住宅の新築塗装を主に手掛けていた小さな塗装店は目の回るような忙しさで、日中は外仕事、夕飯を食べると内装の塗装、明けても暮れても忙しい毎日でした。そんな中でも、とても真面目で、親戚・地域・友人の信頼も厚く、何よりも人の繋がりを大切にする両親でした。

 私と言えば、高校卒業後塗装の技術以外の学びも必要と思い専門学校で経理を学び、次に大手自動車ディーラーの営業職につき、25歳で退職させていただき家業に就きました。色々学んだと言っても塗装技術の専門職ですから修行が必要です。仕事は見て覚えろと毎日朝から晩まで怒られていました。

衝撃の出来事

 平成13年2月、タイに旅行中の父が急死してしまいました。 家族で相談し廃業する事も一瞬考えましたが、今までお世話になったお客様の信頼に答え、我々も生きていく為に家業を継続する事にしました。

 事業の継承は、まだ一年目と経験の浅い私が引き継がず20数年の経験や元請けに人脈もある母が引き受けてくれました。それまで頂いた信用を大切にし、父が亡くなっても変わらず仕事をくださる皆さんからの期待に必死で応える事に精一杯でした。

転換期

 5年過ぎた頃から取引先も増え、それに伴い売り上げも伸び社員も少しずつ増えて来ました。ただ、当時、雪国のとても小さい建築塗装会社特有の「社員には12月末で一旦退職してもらい、春になったらまた就職してもらう」という、会社にとって都合が良く、安定的に働きたい社員にとってはとてつもなく理不尽な状況でした。

 父が亡くなった頃と比べ仕事は安定して来ましたが、会社として先を見出せないまま進み、私は家庭を壊してしまい、その後、弟までもが家庭を壊してしまいました。家族経営で家庭が壊れるというのは致命的です。

 さらに平成26年8月、心労の末に母が心筋梗塞で62歳の若さで亡くなってしまいました。父が亡くなってから、母は良いこともあったけど苦労の連続でした。辛くても最後まで頑張ってくれた母を心から尊敬しています。

 そんな形で事業継承した私は、このまま今までの家業的な会社経営と同じことをしていてはまたドン底を繰り返してしまう。そんな事は心の底から嫌だと思い、家業から会社組織に転換し、お客様、社員、会社が幸せになれる「三方よし」の会社を創ることを決意し、先ずは社員の理解を頂き、先祖に報告をし、多くの方の協力を得て平成27年4月に法人成りをしました。

同友会との出逢い

 平成26年に事業継承後、法人成・元受け転換・販促力強化・CSR活動などなど、良くなりたい一心で様々なものに取り組み挑戦しました。しかし、企業の核になる経営理念やビジョンがなかなかつくれず、鬱々と考えていましたが、明確なものは打ち出せませんでした。どうやって作ったら良いのかも分からず、そもそも誰かに聞く勇気もありませんでした。

 そんな時、「同友会という経営者の勉強の会があるから行ってみる?」と村上市で開催された経営フォーラムに誘っていただききました。職業、年齢の垣根もなく、考えや経験をシェアし、それに対してみな真剣に答え、用意された時間など忘れてしまうほどに自社の事を想い、答えを出そうと議論する。衝撃的でした。すぐに同友会に入会させていただきました。

経営指針成文化と実践の会

 平成30年2月に同友会に入会した私は、早速7月から始まる第2期経営指針成文化と実践の会を受講しました。 7月の第1講がスタートし、自分自身の半生、会社の軌跡や状態を掘り下げ現状を知ることから始まりました。今まで周りに本心を伝えることが苦手だった自分でしたが、何故か、サポーターの皆さんと同期受講生の前で本音を話し、聞いてもらうことが出来ました。

 2講では、社内アンケートの実施でいかに私がひとりよがりだったか、社員に対して聞く耳がなかったのかを痛感しました。3講、4講とプログラムが進むに連れて、サポーターの真剣な姿勢と心のこもった言葉たち、自らのパラダイムを壊そうとする受講生のひたむきさに打たれ、一人、また一人と心を開いていく。課題を作っては壊し、作っては壊して本当に自分が思っている理念やビジョンに近づいていきます。私は3講で頭がフリーズしてしまいました(笑)。

 自分自身が良くなりたい!会社を良くしていきたい!社員を良くしていきたい!お客様に貢献したい!純粋にそんな気持ちにさせてもらえます。受講生としてのプログラム参加は1年ですが、この先はサポーターとして出来る限り参加し、新たな受講生のサポートをしながら学びを深め、共に成長していければと感じております。

新井田塗装店のこれから

 経営指針成文化と実践の会を通してできた理念は、「己の仕事に誇りを持ち、正直に社会の為に成る。感謝の心を大切にします。創造力をもって挑戦します。感動を提供します。」です。

 現在、戸建住宅における新築工事の塗装は、建材の工場製品化が進み現場での塗装は殆どなくなり工事の70%は塗り替えの工事となりました。90%下請け・10%元請け工事だった比率が、現在は、30%下請け・70%元請け工事となりました。

 自分自身のこだわりを大切にする事よりも、お客様の困りごとや形にならない想いを塗装の専門技術や知識で解決する事を大切にするように変わりました。元請け工事が増えた事により、職人仕事からサービス業の色合いも濃くなりましたが、お客さまの要望に応えるために塗装の専門技術や知識をさらに極めます。

ショールーム そして、令和元年の今年、地域では初となる塗装専門店のショールームをオープンさせました。窓を大きく取り、色相環を使った明るく大胆な色使い、一点物の絵画のような特殊塗装の壁。そんな創造力が駆り立てられる空間で、小さいイベントやワークショップを開催し、少しでも地域の小さなコミュニティーになり、子供から年配の方まで笑顔が溢れるパワースポットとなります。

 !もっとクリエイティブな仕事!

社員とともに㈱新井田塗装店の学びはさらに続いて行きます。

【㈱新井田塗装店 代表取締役 新井田 慎(新発田支部) 記】