企業進化論〈37〉㈲御母家[2017年7月号]

㈲御母家

同友会で学び、来たる事業承継を克服し 母が大事に育てた会社を受け継いでいきたい

㈲御母家
専務取締役:澤海 秀保(そうみ ひでやす)

住所:上越市上真砂65-1
Tel. 025-520-2406 Fax.025-520-03494
事業内容:杵つき餅・笹団子・ちまき等の製造販売
創業:/社員数:11名

御母家創業前

 創業以前、当時の我が家は、病気がちな祖父と祖母、病院の事務をしていた父、栄養士の母、長男の私、弟の6人で、かやぶき屋根の家で暮らしていました。今となっては、私もその価値は理解できますが、子どもの頃は、かやぶき屋根の家があまり好きではありませんでした。

 病院の栄養士をしていた母が、この仕事をしながら子どもだった私たちを育てるのは難しいと考え、仕事を辞めました。「家で子供を見ながら仕事ができないものか」と考え、ちまき等の製造、販売を始めることにしました。

創業当時

 昭和58年頃、保健所の許可をとり、現在の製造、販売業を始めました。地元のもち米を使い、昔から伝わる伝統食のちまきを作りました。会社の名前は母が考え、16代続く家の屋号を少し変えて「御母家(おもや)」と名付けました。私は、この名前がとても気に入っています。当時は、母が作った ちまき等を祖母が売りに行っていました。

 祖母は、当時としては珍しく「女性もきちんと教育を受けて働かなければならない」という事を強く思っていたそうで、母もその影響を受けているのだと感じます。母が少しでも良い教育が受けられるようにと頑張る祖母の姿を見て母は育ちました。その母が作る商品には、祖母の「型にはまらない豪快さと優しさ」が見て取れます。母の商品作りへのこだわりは、やはり祖母への想いなのだと私は思います。私は、その想いをとても大切にしています。

会社の転機

 平成2年、親戚に勧められて、御母家を法人化しました。それから間もなくして、御母家に転機がやって来ました。作ったちまきは、おめでたい結婚式等で飛ぶように売れ、新しい納品先がいくつもできていきました。こうして注文は、どんどん入ってきました、ちまき作りは全てが手作業なので、注文数が多い時などは、納品時間ギリギリまで作っていたそうです。そんな中、母はちまきだけではなく、新しい商品の開発や、地元農家さんの所 に行き品質の良い材料を探したりしていたそうです。

 その裏では、失敗も数知れずあったそうです。また父が早くに亡くなってしまった時、気力がなくなりお店を辞めようとしたこともあったそうです。全てがうまくいったわけではありませんでした。時には社員さんに励まされながら、これまで商品を作り続けてきました。

御母家の店づくり

 母は、御母家の目指す形として、長野県の小布施を何度も見に行きました。(気分転換の旅行も兼ねていたようです。)小布施は、北信濃にあって千曲川東岸に広がる豊かな土地です。江戸時代には、交通と経済の要所として栄えていたそうです。伝統的に生産されて来た栗菓子製造などの産業や、その土地で育まれ継承されてきた独自の文化、街並みは、そのまま現在の街に自然と溶け込み活かされています。その小布施のような歴史ある雰囲気や店構え、店のたたずまい、花の植え方、木の木漏れ日の使い方等をお手本にして最初の頃は、店作りをしていました。

現在へ

 ちまき作りに忙しくなった母は、栄養士と学校の家庭科の非常勤講師を辞め、 御母家に専念することになりました。

御母家 その頃は、大手スーパーでも販売するようになり、販売先がますます増えていきました。かやぶき屋根の家を壊し、新しく家を建て、そこに商品を販売するお店も作りました。白アリに食い荒らされた二百年以上前の古い蔵に、数千万円かけ、お店のシンボルにしました。また、昔からあった傾いた牛小屋を数百万円かけてリフォームし、ちまきや笹団子を巻くための建物にしました。御母家の支店も増え、お店で製造する商品も創業当初より、はるかに品数が豊富になってきています。

同友会に入会して

 2010年頃、事業承継に向けて、人間関係などの経営課題に悩んでいたところ、越後繊維㈱の大嶋さんに紹介され、同友会に入会しました。事業承継を控えている私にとって、今では、同友会はなくてはならない存在になっています。支部活動、委員会活動などの同友会の行事に参加することで経営を学ぶことが、なによりも楽しく感じています。先日開催された、第20回女性経営者全国交流会in富山に参加し、初めての全国行事を経験しました。新潟だけではなく、全国各地の経営者と行うグループ討論は、とても刺激を受けました。

仕事を続けて行くために大切なこと

 御母家では、「人と人の間にある心のゆとり」をとても大切にしています。仕事が忙しい時、厳しい時などは特に心のゆとりを大切にします。大切な仕事にとり掛かる前、時間がない中、あえてコーヒーを入れて飲んでみたり、冗談を言い合ったりと、その時の仕事現場の雰囲気で心のゆとりを生み出す様にします。忙しいときほど、心のゆとりを持つことが大切だと思います。

 家族同士の親子関係、従業員さんとの関係、取引先との関係、仕事を続けて行くために、これからも「人と人の間にある心のゆとり」を大切にしていきます。