同友にいがた vol.329[2015年2月号]

広告は人と社会に勇気と夢を与え、必要とされるもの。 - 益田昭夫さん(新潟支部)株式会社アドプロダクションエム代表取締役 - | 同友にいがた vol.329[2015年2月号]

起業から40年。これからのわれわれには、さらに大きな変革が起きる。

同友にいがた vol.329[2015年2月号]世の中は、SNS(ソーシャルネットワーク システム)が幅を利かせています。欲しいものはインターネットで探し購入することが普通の時代です。印刷物を中心にした広告は激減していくことになります。全国の新聞の購読者数はピークからみると約13パーセント減少したといいます(日本新聞協会調べ)。若者の家庭では新聞をとっていないことも多く、従って新聞広告のアピール度合いも、新聞に折り込まれるチラシ広告も効果が少なくなってきています。電波媒体も選択の幅が広がり、一方的な伝達型広告は敬遠されていきます。一方、少ない部数でもアイデアにあふれた、凝った印刷物はなお存在感が深まることも事実です。

人口が減少していることもあり、ますますマスメディアによる広告は伝わりにくい傾向が加速されていくと思われます。

また生活に必要なものもほぼ充足し、新開発品や一部の健康関連用品などを除き、個性や趣味を満足させるものに主力はシフトしています。

広告は人と社会に勇気と夢を与え、必要とされるもの。

JR東日本の広告で「行くぜ東北」というキャンペーンがあります。東北の人々に再生への意欲を感じてもらい、観光だけではない東北旅行を誘う狙いがあったそうです。地域とJRにも大きな効果を生みだすもの、と電通の担当者は語っています。

この例のように、広告は最終的に多くの関連機関との利害の調整を行い、人々に希望を作り出すことに意義があります。

ターゲットに対して心に響く美しさや印象の深さを追求しながら、人の役に立つものが求められます。そこを深く考える力を養うことが、これからのデザイン事務所の生き残る原点であると考えています。

単に時代に迎合した、見た目の追求だけではないところに基本がありますが、時代をリードしていく先見性も求められています。

また、一企業だけでなく、地域との深い関わり合いの中から生まれたデザインや生活雑貨など、人により近い部分でも優れたデザインが生まれてきています。当社でも、いくつかの地域との関連を深め、ともに考える基盤を作りつつあります。いくつかのオリジナル商品の開発も手がけデビューいたしました。

創立は約40年前。

雪が降る古町の小路の中で、「これがまあ、ついのすみ家か雪五尺」(小林一茶)喜びというより不安を抱えた一人でのスタートでした。理解して支えてくれた妻には、それ以来、頭の上がらない毎日です。

十数年後、現在のビルに移った時にはそれなりの達成感を味わったものです。社員数も十人前後となりました。

同友にいがた vol.329[2015年2月号]私が金沢美大に在学していたウン十年前頃、写真植字というものが開発されました。デザイン科を卒業して、社会に入ってようやく本格的に、いわゆる写植と向き合うことになります。その頃は、広告デザインを起こすためにまずデザイン見本を手描きで作り出すことから始まりました。代理店では、それを「カンプ」と呼んでいました。カンプリヘンシブデザインの略です。コピーライターの名コピーと、仕上がりに近い絵と手書きの文字を実に見事にレイアウトし顧客に提案するわけです。そこで了解を得ると実際に写真撮影に入り、写植で打ち込んだ書体を貼り込んで版下を完成し、印刷業者に回すことになります。仕上がってみるとカンプのほうが魅力があるとよく言われたものです。文字の貼り込みにしても文字の間隔が機械的なものですから、一文字ずつ切り、字詰めという作業を行いました。すべてがアナログ的、恐ろしく手間のかかる時代でした。それでも一連の仕事を通して作ることの面白さにはまっていったものです。

あっという間にコンピューターの時代へ。

印刷所、デザイン関係の事務所がパソコンを取り入れ始めると瞬く間に普及して、パソコンに弱いデザイナーは仕事ができなくなりました。同時に製版会社、印刷会社などにも大きな変革をもたらすことになります。

デザインカンプにしても、手作業からすべてパソコンによる制作に代わり、最終仕上がりと変わらないものがつくられるようになりました。絵も、文字も描けなくとも、アイディアがあれば仕事になる時代となったのです。

これからのデザイナーは「考える人」として生きていかなければなりません。人、社会に興味と愛情を持ち、幅の広い教養、人間力を身につける努力が求められています。

同友会で初めて知った経営者の責任。

デザイン職人のような、全く世間知らずの私が事務所を開き、従業員も徐々に増えていったとき、漠然と感じていた不安が少しずつ大きくなって来ました。毎日の中で、あらゆる問題が噴き出してきたのです。従業員の意識との食い違い、銀行や顧客との関係など実際の仕事以外にこんなにも未経験なことが多いと気づき、自分に経営なんてできるのかと悩んだものです。

ちょうどそのころ、ある人から同友会の存在を教えられ、恐る恐る門を叩いたのでした。経営者としての自覚、会社の存在価値の創造、人を大切に考えることなど多くを教えられました。組織の大切さに目を向け、人と地域社会との共生などを考えられるようになったのです。

暮らしの小さなシーンの中にもホッとするゆとりと楽しさと便利さを作り出していくこと。

長岡造形大学理事長の水流(つる)さんが「デザイナーは問題を発見し、課題を設定し解決策を構築する。またその過程の中で多くの意見を聞き利害を調整することが仕事である」と語っています。デザイナーという名前の職業も変わってきたものです。

我々も非力ではありますが、時代に対応したデザイナーの新しい役割を担っていかなければ展開も望めません。これからも環境、少子化、高齢化など時代の課題は山積しています。それらの問題点にデザイナー、クリエイタ―として何らかの関わり合いを持ち、発信し続けることができれば、我々の仕事は無限大です。私の長男である専務が、営業クリエイタ―として仕事を広めつつあります。

難しい時代に向かい感性と合理性、さらには同友会的理想を加味した努力が求められているところです。私と同年代の同友会企業のみなさんと同様、そろそろ社長交代の時期も近づいてきたようです。

おしまいに。

同友にいがた vol.329[2015年2月号]趣味に水彩画を描いてずいぶん経ちましたが、現在、心の支えになっていることは事実です。描きたまった絵が自宅と会社に置いてあるほかに、同友会会員のリハブサロンDooさんにも置かせていただいております。友人知人や、先日は掛軸堂さんからもご注文をいただき、ありがたく思っているところです。美大の友人などには大御所もおりますが、私は好きな風景をのんびり描いて、たまに個展を開いたり公募展などに出品しています。

これからはなお、マイペースでやっていこうとたくらんでいるところです。

<株式会社アドプロダクションエム 益田 昭夫(新潟支部)記>

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