おススメ図書-“先の先を読め”

おススメ図書
“先の先を読め”(樋口武男著) 文春新書861円“先の先を読め”(樋口武男著) 文春新書

?

 この本は、大和ハウス創業者の石橋信夫氏の経営哲学を、現会長である樋口氏が記した本です。30年で1兆円企業を育て上げた創業者の経営の一つ一つが書かれています。示唆に富んだ、うーんと呻らせる行動がそこ彼処に綴られています。その中から、二三取り上げさせて頂きます。

?
 “ブームは自ら起こせ”では、今では当たり前となっている、横断歩道橋のことが載っています。1963年4月25日、大阪駅西口の中央郵便局前に本邦初の大型歩道橋が出現しました。このアイディアを考え付いたのが石橋氏でした。子供に毎朝「きいつけや」といって送り出していたときに、車道を渡らんかったらええのやと気付き、横断歩道を持ち上げたらいいと発想する・・そこからすぐに実行に移し、歩道橋ブームが起こされたのです。
また、「複眼で物を見ろ」と言います。自分の部署のことをするだけでなく、よその部署も見て、自分の部署の位置を決めます。
 そして、鳥になれといいます。物事を俯瞰してみなさいと。そうすると、自分の位置、周りが見えて来るんだということです。

?

 “梵事徹底”では、石橋氏が戦争時、ソ連軍に捕虜としてシベリアに連れて行かれるとき、その戦場を掃除してから引き上げます。あちこち無残に転がる戦死者の遺体を丁寧に埋葬し、弾薬や被服を整理し、遺品を遺族に届けられるように、きちんと収集したのでした。「この地で、わしらは命を懸けて戦った。生き残ったものも一度は死に場所と決めた戦場や。荒れた野も山も、去るときにはきれいにしていくのが人間の務めやないか」
「樋口君、これは戦争だけの話やない。経営もまた戦いやが、心の持ちようは同じやで」と語っています。
 これを樋口氏は、福岡支店時代、遂行しています。赤字続きの支店を、この考えのもとに、注文には、迅速・正確に応じました。クレームには誠意を持って応え、何よりも外のお客様から見て、”気持ちのいい”会社であること、そこから信頼が芽生え、顧客の輪が広がる。その連鎖が何時しか売上の拡大に繋がって行くのであります。

?
 最後に私が一番感動したのは、創業者が療養生活に入って、酸素吸入器をつけて、羽咋(はいく/石川県)の山荘で樋口氏と経営談義をしているときに、創業100周年には十兆円企業たることを目指そう!と熱く語り合ったことです。100周年といえば、2055年です。その頃には石橋氏も樋口氏もこの世にはいません(石橋氏は2003年に亡くなられています)。それを今、1兆円企業なのに、そのさきどころか、先のまた先の100周年を語る。なんともいえないものを感じてしまいました。
 そして、その時に、何をやったら儲かるとかを考えたらあかん。世の中がこの先、どういうものを必要とするかをかんがえろ。利益はあとからついてくる」と。本当に、一つ一つが宝物のように、言葉が行間に滲み出ています。一読してみてください。

?

鈴木畳店 鈴木俊弘記(新潟支部)